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2017-08-25

毒について考える

夫との会話の中で、「毒」についての話題が月に2〜3回出た。私の中では今、毒がアツい。

毒、と聞いて最初に思い浮かぶイメージは何だろうか。

私は安直だがドクロを思い浮かべる。死、に直結したわかりやすいイメージだと思う。毒物の入った瓶にドクロが描いてあると、いかにもあの世への片道切符という感じでおそろしい。最初にこのアイコンを考えた人はすごい。

きっと目の前にドクロマークの描かれた、白い粉入りの小瓶があったら、まず怖くて触れないだろう。足も震えてしまうかもしれない。しかし中身がどんなものなのか、とても気になる。刃物で大量出血!とか、扼殺で窒息!ほど、見た目にわかりやすい外傷のようなものもなく、猛毒であればわりとすぐ絶命するという。身体の中でどんなことが起こっているのか、素人には全くわからないところに、おそろしいながらもロマンを感じる。

ということで、「毒はどのようにして人を死に至らしめるのか。」ネットで調べてみた。専門用語がたくさんあって、化学が赤点ギリギリ近かった私には、はっきり言ってちんぷんかんぷんだ。わかりやすく説明してくれているサイトなんて、他にいくらでもあるから、ここでは超簡単に紹介する。こんな簡単な説明を書くために色々なサイトを見て格闘、理解するのにものすごく時間がかかった。

 

1 「これはアーモンド臭・・・」コナンでおなじみの「青酸カリ」

①「青酸カリ」を口に入れる。(これ、かなり刺激が強くて無理があるらしい。)

②胃酸の中の塩酸と反応して「青酸ガス」ってやつが発生する。

③吸収されて血中に「青酸ガス」が入る。

④本当は酸素を運ばなきゃいけない赤血球の中の物質(ヘモグロビンを構成するヘム鉄っていうらしい)が、青酸ガスが入ってきたせいで「シアン化物イオン」ってやつを運び始める。

⑤酸素が身体に行き渡らなくなって死ぬ。

 

調べてみて強く感じたことが2つあった。

1つめは「身体の中の仕組みってすごい!」という驚きである。風が吹くと桶屋が儲かる的なアルゴリズムで、たった一つの物質が身体を破壊する。

2つめは「青酸カリはものすごく悪いやつと思っていたけれど、そのものは悪くない」という印象だった。青酸カリそのものが悪いことをしているというのではなく、身体と青酸カリの相性の悪さを感じた。

悪い人のいない会社に、これまた別に悪いわけではない、でも今までにいないタイプの人が入ってきて、今まであったシステムが崩れて倒産しちゃったみたいな感じがある。小さな社会の中には独自のルールがあって、そのルールから外れたやつは悪!みたいになるけれども、別の社会では善!となることは往々にしてあるのだ。現に青酸カリは塗装界では活躍している。

調べるのに疲れたが、例がひとつってのは流石にまずいだろうと思ったのでもう一つ。

 

2 練炭自殺などで話題になった「一酸化炭素」

①「一酸化炭素」を吸う。

②やっぱり酸素を運ばなきゃならない血液中の物質ヘモグロビンと、「一酸化炭素」はとても結びつきやすいという。酸素の200倍以上。で、すぐ結びつく。

③ヘモグロビンが酸素を運ばず「一酸化炭素」を運び始める。

④身体に酸素が行き渡らなくなって死ぬ。

 

なんだか「身体に酸素が行き渡らなくなって死ぬ。」が2パターンも続いてしまった。いわゆる「血液毒」という分類になるらしい。本当は、名の知られている「神経毒」について書いてみたかったが、生きるための仕組みを根本から理解していないと、かなり難しそうだったのでやめた。

ヘモグロビンにとっての酸素は長年連れ添った恋人だとしよう。さしずめ一酸化炭素は、魅力的な新しい人物だろうか。きっと200倍以上相性が良く、一瞬で惹かれあってしまうのだろう。身体全体のことを考えればパートナーにすべきは酸素だが、どうしても一酸化炭素の方に傾いてしまうのだ。

と、仕組みをもっと理解している人には「ぜんぜん違う!」と怒られそうな妄想をしてしまったけれども、そんな感じで一酸化炭素は身体の中のシステムを壊してしまう。故意にヘモグロビンをたぶらかそうとしているのではなく、出会ってしまったら最後、結ばれるしかないのである。

吸引した人には大変残念な結果になってしまったが、青酸カリ同様、一酸化炭素も人体との相性が悪いのだ、いたしかたない。

 

 

仕組みを調べてみると、毒そのものは意外と「毒」じゃないのでは、と思ったことが発見だった。あんなにドクロの小瓶が怖いと思っていたのに、なんとなく一生懸命生きている健気な存在に見えてくる。(実際手元で小瓶を眺めているわけではない)分子組成がちょっと違っていれさえすれば無害、なんていう毒もあるのかもしれない。

大辞林によると

毒・・・生体、特に人体に有害な物質。特に少量でも人命にかかわる作用を及ぼし得る物質。

とあった。うう、ちゃんと生体、人体に有害って書いてある。別に存在そのものが有害ってどこにも書いてない、という当たり前の事実に気づいた。毒にも薬にもなる、という言葉があるが、まさにそうだ。対象によって悪か善かは変わるのだ。

研究者たちは、存在そのものが悪みたいなイメージがついている物質たちを、愛しているのではないかと思った。改めて考えてみると、絶対的な悪というものは、存在するのだろうか・・・。

 

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